【筧千佐子】青酸連続殺人事件 筧千佐子はどうやって高齢男性を魅了してきたのか
筧千佐子はとびぬけた美人というわけでもなく、街中のその辺に居そうな「おばちゃん」といった印象の女性です。そんな彼女が次から次へと切れ目なく男性を虜にできたのはどうしてなのか。
筧千佐子自身はその理由をこう考えていました。
「私はいつも自然体です。結婚できたのは、誰にも陰日なたなく接して、炊事や洗濯、掃除という女としての仕事もできたからやないですか。体が元気やからセックスもできました。だからベッピンじゃなくても、男の人らは80点くらいに評価してくれたんでしょう」
日刊ゲンダイDIGITAL 2022.3.13 「関西連続青酸殺人事件 筧千佐子死刑囚が泣きながら語った出生の秘密」
筧千佐子は逮捕されるまでに20か所以上の結婚相談所へ登録しています。これはとある結婚相談所のアンケート「あなたの結婚観について」に対しての筧千佐子の回答です。このアンケートは三択式のものですが、千佐子はそれぞれ次のような回答を選択していました
- 【妻の仕事について】結婚後は家庭をしっかり守って仕事はしない
- 【妻は夫の仕事について】意見を求められた場合のみ言う
- 【家事・掃除等は】妻にまかせる
- 【夫婦の財布のひもは】夫婦で共同管理するのがよい
まさしく昭和の男性の多くが求める「専業主婦、出しゃばらず控えめ、家事は女性の仕事、金を自由に使わせてくれる」という女性像ではないでしょうか?あくまでも彼女の目的は残りの人生を共に過ごすパートナーを探すことではなく「カネを持った年配男性の懐に入り込む」事。そして筧千佐子にとって、こういった思考の男性は”落としやすい”カモだったのではないでしょうか?
また「自分の性格に関するアンケート」も同様にターゲット層の男性が好みそうな設定の女性像で回答しています。
- 【家庭的ですか?】大変家庭的である
- 【細かいことによく気が付く?】気が付くほうである
- 【負けず嫌いですか?】そうでもない
- 【芯は強いですか?】そう強くはない
実際に利用していた結婚相談所の代表は筧千佐子の印象について、こう語っています。
「年齢よりも若く見え、会話のテクニックがある人でした。声のトーンとかテンポが良く、自分の伝えたいことをすべて会話に詰め込んで、相手に納得させるタイプです。たぶん普通の人やったら話術に翻弄(ほんろう)されてしまうと思います。彼女は子供や親族が近くにいない相手を希望していて、持ち家があり、貯(たくわ)えがそこそこある人がいいと話していました」
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この回答から見えてくることは、筧千佐子の最大の武器は見た目の美醜には関係なく、その「会話」テクニックだったということです。
そしてまた会話のほかにも手紙で心の中に入り込むテクニックもあったようです。
これは筧千佐子が収監された後、接見取材をしていた別々の記者が取材の後に受け取った筧千佐子からの手紙です。
〈とじこめられた場所にいるので人恋しいのです。こんな処(? シューン)にいるのに、こんな出会い(? ?)があるなんて夢のようです(夢ならさめないで)。自分がおかした罪が(ママ)消しゴムで消したいです(夢のようなこと言ってスミマセン)。だからといって死ぬ勇気もないダメ女です(シューン2回目ですね)〉と書かれた手紙の最後は〈どこでくらしても、女ですもの。女ですもの……〉
文春オンライン 2021/08/23 《青酸カリ殺人》獄中でも出会いを繰り返す連続殺人犯・筧千佐子「どこでくらしても、女ですもの…」「こんな出会いがあるなんて夢のよう」
〈健さんと近くだったらデートの時の費用、私が払うのに(笑)〉〈本当にマジで心から、お逢いしたいです〉
日刊ゲンダイDDIGITAL 2021/03/13 関西連続青酸殺人事件 筧千佐子死刑囚が泣きながら語った出生の秘密
取材にきた記者にさえこのようなキャバ嬢の営業メールのような手紙を書いていた筧千佐子はターゲットの男性にも手紙を送っています。
〈離れて暮らしていても自然体で夫婦の感覚で、隔たりや垣根、ハードルがないんです。数カ月しかたってない感覚でないんです。大好きになってしまっているからでしょうね〉
文春オンライン 2021/08/23 《青酸カリ殺人》獄中でも出会いを繰り返す連続殺人犯・筧千佐子「どこでくらしても、女ですもの…」「こんな出会いがあるなんて夢のよう」
〈おはよう。昨日はありがとう。勇夫さんの愛と信頼に、あなたの元に行く気持ち、揺るぎないものになりました。私のような愚女を選んでもらいありがとう。これからは2人で幸せを見いだしていきましょう。愚女ですがよろしゅうにお願いします〉
文春オンライン 2021/08/23 《青酸カリ殺人》獄中でも出会いを繰り返す連続殺人犯・筧千佐子「どこでくらしても、女ですもの…」「こんな出会いがあるなんて夢のよう
この二つは実際に裁判で証拠として提出された被害者宛てのメールです。これはそれぞれ殺害されたJ氏とK氏に出されたものですが、この二つのメールの日付は一週間しか離れていませんでした。
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筧千佐子は取り調べの際に俗にいう「うそ発見器」、「ポリグラフ検査」を受けています。しかし千佐子はポリグラフ検査で嘘を言っても生理反応が変化しなかったため、捜査本部は自供の線は捨て、公判を維持するための物証集めを中心に捜査していきます。
これは接見した記者の「息を吐くように自然に嘘をつく」という印象が間違っていなかった事を証明するエピソードです。
そして、筧千佐子は殺害に関して一切の反省も罪悪感も持っていません。接見した記者に対して真顔で彼女は
「遺族への思いなんか何もないですよ。私は被害者を殺しましたが、遺族には何もしていないですから」
こう言ったといいます。
一般的にサイコパスと呼ばれる『精神病質者』の特徴には「口達者(表面的な魅力)」「自己中心性」「病的に嘘をついたり人を騙す」「良心の呵責や罪悪感の欠如」などがありますが、まさしく筧千佐子はこの特徴にあてはまります。
「息を吐くように嘘をつく人物」である以上筧千佐子の言葉はどこまで信用できるのか疑問は残りますが、接見した記者は筧千佐子がおそらく本当の事を語っただろう瞬間に立ち会っていました。
接見取材中、彼女と殺害した被害者たちについて話をしていた時、「金払いの良い被害者を殺すはずがない」と言った筧千佐子に記者が返した「では金払いの悪い人は殺したのか?例えばCさんとか?」という質問に対して
筧千佐子は顔から一切表情が消え、黒目は光を無くし何を考えているか一切読み取れない、そんな「鵺」のような表情で
「Cさんは、殺めました」
と答えたそうです。その後質問を続ける記者にその他被害者の殺害も認めましたが、我に返ると話題をそらし始め記憶があいまいであるようなそぶりをしたそうです。
筧千佐子が自分の中の思考に深く深く落ちたとき、ようやく真実が口から出てくるのでしょうね。
「互いの親に反対されたのに、それを押し切って結婚して大阪に来たのが人生の失敗。それでこんなバチが当たったんだと思う」
接見した記者にこう語る筧千佐子は、自分が借金に苦しみ次々と人を「殺さなくてはならなくなった」のは嫁ぎ先から酷い扱いを受けたことが原因で、運命や環境が悪かったせいだと考えているようです。
もし21歳で7歳年上の男性に恋をして、故郷から遠く離れた大阪の農家へ嫁がなければ彼女は今のような性格になっていなかったのでしょうか?
「サイコパス」的要素が個人の経験によって発症するものならばあるいはそうだったのかもしれません。もともと持つ素養を強化する効果もあったのかもしれません。
そして筧千佐子の中では常に自分は加害者ではなく、被害者なのでしょうね。
最初の夫を除き筧千佐子がターゲットとした11人の被害者たちは全て60代後半以上の高齢者で癌などの持病があった人も多く、突然倒れ死亡しても「事件性」を疑われにくく事件発覚が遅れてしまった状況もあったのでしょう。そして筧千佐子自身もその点を狡猾に計算していたのでしょう。
実際に死亡後、血中の青酸化合物濃度を測定できたのはたった2人です。服毒の結果長期入院となったE氏に関してはその記録から青酸化合物中毒と矛盾しない記録があったことで立件することができました。しかしその他の被害者に関しては公判を維持できるだけの証拠が揃えられず立件を断念しています。
2021年6月29日最高裁は筧千佐子側からの上告を棄却し、7月17日筧千佐子の死刑は確定しています。
追記 筧千佐子 78歳 大阪拘置所にて死亡
立件できたものは4件でしたが、おそらくは11人もの男性の命を奪ったであろう筧千佐子死刑囚は2024年12月26日朝、収容されていた大阪拘置所から病院へ搬送、その後死亡が確認されました。


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