【アトランタ五輪爆破テロ】リチャード・ジュエル英雄から容疑者になった男

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投稿日:2023年8月23日 | 最終更新日:2023年8月23日

オリンピック期間中に起こった爆破テロ。爆弾発見、避難誘導し英雄になった警備員は3日後に最有力容疑者と報道された。真犯人は中絶反対の為に爆弾テロをおこしていた。アトランタ五輪爆破テロ事件について調べてみた。

【アトランタ五輪爆破テロ】どんな事件だったのか?

概要
  • 1996 年 7 月 27 日ジョージ州アトランタの100 周年オリンピック公園で発生したパイプ爆弾によるテロ事件
  • 1人死亡、111人負傷した
  • 警備員リチャード・ジュエルさんがベンチの下で不審なバッグを発見し通報。その後観客の避難誘導を始めるも避難官僚前に爆弾は爆発する。
  • 事件後メディアはリチャード・ジュエルさんを英雄ともてはやすが、捜査当局が容疑者としてリチャードさんを捜査しているとの情報が流れると手のひらを返したように一斉に犯人のように報道をはじめた。
  • 1996年10月にリチャード・ジュエルさんを捜査対象からはずすことが発表された。
  • 2003年5月複数回の爆弾テロをおこなっていたエリック・ルドルフが犯人として逮捕された。

アトランタ五輪爆破テロ事件はアトランタオリンピック期間中の7月27日に発生しました。爆破テロが行われた場所はアトランタオリンピック開催を記念して作られたCentennial Olympic Park(100周年オリンピック公園)でした。

爆弾が爆発した深夜1時20分、会場はR&Bのコンサートで数千人の観客が集まっていました。

犯人のエリック・ルドルフは爆弾を仕掛けた後、爆破時間の18分前に「30分以内に爆発が起こるだろう」と警察に通報しています。

警備員のリチャード・ジュエルさんはベンチ下の不審物を発見しました。その後すぐ捜査局へ通報し、観客の避難誘導を開始しましたが避難開始から2~3分後、避難が完了する前に爆弾は爆発してしまいました。

この爆発で1人死亡し、111人が病院へ搬送され治療を受けています。

【アトランタ五輪爆破テロ】リチャード・ジュエル 爆弾発見の英雄から容疑者へ

リチャード・ジュエル
  • フルネーム:リチャード・アレンズワース・ジュエル
  • 生年月日:1962年12月17日
  • 死亡:2007年8月29日(享年44歳)
  • 死因:糖尿病に併発する心臓発作
  • 職業:警備員,警察官、保安官

爆破事件後リチャード・ジュエルさんが爆弾発見とその後の避難誘導をおこなった事に対して各メディアはジュエルさんを「英雄」であると賞賛しました。

しかしその3日後、日刊紙アタランタ・ジャーナル・コンスティチューションはFBIが犯罪プロファイリングに基づきリチャード・ジュエルさんを最重要容疑者としていると報道しました。

それを契機としてその他メディアもこぞって「爆弾を発見することで英雄になる為に爆弾をしかけたのでは?」との論調で報道を展開しました。

記者達はその報道後、数週間にわたってリチャード・ジュエルさんの住んでいたアパートを監視しジュエルさんの経歴などの個人情報を書きたてました。

リチャード・ジュエルさんはFBIにより自宅を2度にわたり公開捜査されたり、周囲の人の尋問が行われたり、24時間生活を監視されたりしましたが、結局逮捕されることも起訴されることもありませんでした

その後1996年10月にリチャード・ジュエルさんへアメリカ司法省から「調査の結果、リチャード・ジュエル氏は爆破事件の捜査対象とはみなされない」との書簡が届きます。

この書簡により、リチャード・ジュエルさんの嫌疑は完全に晴れました。

そしてアメリカ司法省からはマスコミへの調査情報漏洩に対して遺憾であるとの声明が発表されました。

リチャード・ジュエルさんへの過剰な報道に対しては

“ジュエル氏はFBIが意図したわけでも、望んだわけでもない、極めて異例で強烈な宣伝に耐えた。そして事実として、その過剰な報道姿勢は捜査の妨害となった。”

“リチャード・ジュエル氏が爆弾テロに関連したいかなる犯罪にも起訴されていないこと、そして裁判所公認の捜査令状に従って押収された財産は返却されていることを、世間は肝に銘じるべきである”

別の書簡にてこのような声明をだしています。

この声明は極めて異例なもので、政府当局がジュエル氏の嫌疑が誤りであったことを認めるものだとニューヨーク・タイムズ紙は報じています。

また1997年7月にはアメリカ司法長官からジュエルさんへの激しい監視をもたらした情報漏洩に関して

「このようなことが起きて非常に残念に思います。私たちは彼に謝罪する義務があると思います。漏洩を残念に思っています。」

との発言もありました。

また一方、ニューヨーク・タイムズ紙は容疑者対象から外されたことが確定した1996年10月にこのような記事を上げています。

 “a number of law-enforcement officials have said privately for months that they thought Mr. Jewell had been involved in the bombing, even though there was no evidence against him and some evidence seemed to rule him out”.

”多くの捜査関係者が、ジュエル氏が爆弾テロに関与したと考えていると何か月も内々に語っていた。

ジュエル氏に不利な証拠はなく、むしろ容疑者から除外するような証拠もあったにも関わらず、である”

wikipeia richard_jewell

この記事から証拠が挙がっていない状態でも第一発見者であったことから過剰にジュエルさんを容疑者としたい心理が捜査当局側にあったのではと想像できます。またそれは過剰な報道による影響もあったのかもしれません。

そして、ジュエルさんへの過剰な捜査に傾倒した結果、真の連続爆破テロ犯であるエリック・ルドルフ逮捕の遅れにつながった可能性もあるのではないでしょうか?

では真犯人エリック・ルドルフとはどのような人物だったのでしょう?

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