【セウォル号沈没】高校生250人犠牲!船体改造!職務怠慢!様々な不手際による最悪の事故

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投稿日:2024年5月21日 | 最終更新日:2024年5月21日

【セウォル号沈没】高校生250人犠牲!救助要請は高校生から

セウォル号にアクシデントが発生したのは2014年4月16日午前8時50分頃でした。その数分後に最初の緊急通報が全羅南道消防署へ入ります。

それは乗客として乗っていた高校生からのものでした。通報は消防署から海上保安局へ回されます。

海上保安局で緊急通報に対応した職員は高校生に船の緯度と経緯を訪ねています。担当者は救助要請が乗組員からのものと思っていたのではないでしょうか?

この緊急通報をした高校生は残念ながら生き延びる事はかないませんでした

高校生の通報の数分後に乗組員から最初の救難信号を発信していますが、その時にはすでに高校生からの緊急通報により巡視船は出動していました。

【セウォル号沈没】高校生250人犠牲!救助活動 情報の錯そう 不手際 混乱

韓国政府は午前9時4分には中央災害対策本部を立ち上げ、沿岸警備隊は9時10分に救助活動本部を設置しています。

緊急通報で出動した巡視船は9時30分頃に現場へ到着しましたが、セウォル号と直接の交信をしていません

5分間巡視船から乗船している人々へ水に飛び込むよう呼びかけを行い、9時38分にはゴムボートを出動し救助活動を開始しています。しかし船内へ入る事はしませんでした。

操舵室で待機していた船員に関しては窓を突き破り救助しています。

事故発生から約4時間30分後に安全対策本部から「368人が救助され約100人が安否不明」と発表され、教育庁からは「生徒及び教師338人全員が救助された」と発表されましたが、その3時間後には海洋警察から「約300人が安否不明」と発表するなど情報が錯そうしていました。

実は事故発生から13時間が経過した時点でも対策本部、海洋警察などの関係部署での旅客船乗船者名簿の把握すらできていませんでした。

その他にも海洋警察では救助作業に重要な役割を果たす海上クレーンの使用料負担を巡り船舶会社と対立し出動が12時間遅れています。

また、同じく海洋警察は事故の発生した4月16日には「船内に酸素を注入している」と乗客家族に説明していましたが、その時点では設備自体準備ができておらず設備が実際に届いたのは翌日17日の夕方でした。

【セウォル号沈没】高校生250人犠牲!海洋警察の不手際

セウォル号沈没事故に際し救助活動の主体だった海上警察について様々な不手際が指摘されています。

  • 海上クレーンの使用料負担に関して船舶会社と対立し出動が12時間遅れる
  • 4月16日、海上警察当局から救助体制として救助員555人、ヘリ121機、船舶69隻で当たっているとの説明をしていたが、17日に実際に遺族が確認したのは救助作業員200人以下、ヘリ2機、軍艦、警備艇各2隻、ボート6隻のみだった
  • 民間ダイバー200人が協力していたが、4月22日に民間ダイバーへ罵声を浴びせた事により民間ダイバーは30人に減り、参加者は11人に激減したと報道されている
  • 海洋警察が公開した初期の救助活動の様子を撮影した動画から救助者の身元確認を怠った、潜水士が到着したのが船が完全に沈んだ後だった、船体を木槌などで叩いて生存者の反応を確認したりなどの行動を怠っていたなど「海洋警察捜索救助マニュアル」に沿わない行動が指摘されている
  • 公開画像から窓を割って船内から脱出しようとしている乗客を見落としていたことを指摘される。乗客は窓を割る事が出来ず、窓に顔を近づけ救助を待っていたが海洋警察のボートはその場から離れていき、客室が水に浸かっていく様子が確認されている
  • セウォル号沈没地域を担当する木浦海洋警察には高速艦艇と潜水士達が非常待機していたが、事故当日には高速艇の乗組員がおらず潜水士達は車で1時間以上かけて珍島彭木港まで移動。木浦港から事故現場まで、高速艇であれば最短約80分で到着できるが実際には152分かかり1人の被害者も救うことができなかった
  • 海洋警察の警備艦艇の182隻には、救助用ロープ・はしご・油圧切断機など基本的な装備がなかった
  • 海洋警察は午前9時53分頃、西海地方庁から出た船内救出活動指示に対し「傾斜がきつく乗り込む方法がない」として船内活動を行っていない。しかし10時09分頃には漁業指導船の乗組員がセウォル号に乗り込み乗客を救出している
  • 済州海洋警察署は事故当日の4月16日午前8時58分には、済州海上交通管制センターから事故の発生を伝えられていたが「管轄ではない」としてすぐに対応をせず9時10分になってから艦艇の出動を指示。また全羅南道消防本部側も「海上事故は海洋警察の管轄」として、21分後の9時13分になってからようやく消防ヘリコプターに出動を指示。珍島海上交通管制センターでは、セウォル号の異常航路を監視している者がいなかった
  • 現場で救助活動をしていた木浦海洋警察は本庁から7回にわたりセウォル号との交信を求められたが、十分な交信をしなかった。またセウォル号側が乗客の脱出について西海地方海洋警察庁に問い合わせたが海洋警察側は「船長が判断すべき」などと消極的な対応をとり続けた。その結果救出の機会が失われた
  • 海洋警察は警備規則として沿岸海域に200t以上の中型の艦艇を配備していなければならなかったが、事故当日中国漁船の違法操業の取り締まりで全ての中型艦艇が出払っておりセウォル号事故時には定員9名の警備艇(123号艇)しか派遣できず充分な救出活動が出来なかった

事故から約1か月後の5月19日には当時大統領の朴槿恵(パク・クネ)氏は、救助活動は事実上失敗したとして海洋警察の解体を表明しています。

【セウォル号沈没】高校生250人犠牲!船体改造!職務怠慢!様々な不手際による最悪の事故 おわりに

2014年4月16日に発生したセウォル号沈没事故ですが、救助していたダイバーや韓国軍、消防隊などの人員からも複数名死亡者を出しています。

また救助された修学旅行に付き添っていた教頭やセウォル号の運航会社会長の自死も起こっています。

乗客に避難指示を出さず、自分たちのみ脱出した船長及び機関士の15名は裁判にかけられました。

2015年4月、船長は未必の故意による殺人罪で無期懲役機関長は殺人罪は認められず懲役10年、残り13人には懲役1年6か月~12年の判決が下されました。

船長は乗客救護措置を取らずに逃げた動機について「船員だけは何とか生きなければならないと考えた」と答えています。

日本の法令では船長の責務として船舶に危険がある場合

船長は、自己の指揮する船舶に急迫した危険があるときは、人命の救助並びに船舶及び積荷の救助に必要な手段を尽くさなければならない(船員法12条)

と規定しています。

実は旧船員法第12条では「船長は船舶に急迫した危険があるとき、人命、船舶および積荷の救助に必要な手段をつくし、かつ、旅客、海員、その他船内にあるものを去らせた後でなければ、自己の指揮する船舶を去ってはならない。」(船長の最後退船)とあり、違反した場合は5年以下の懲役という罰則が規定されていましたが、1970年に船員法が改正がされ、自己の指揮する船舶に急迫した危険には必要な手段を尽くす一方で、やむを得ない場合には己の指揮する船舶を去ることを可能とする規定に変更されています。

しかし改定された後でも船長の最後退船が基本であることは改定から39年後に発生した2009年の「ありあけ」転覆事故でも想像に難くありません。

「船長」が乗員乗客の「人命」を最優先で考えていれば、もっと多くの当時16歳だった子ども達が今現在26歳の大人として生活していただろうことを考えると胸が締め付けられます。

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