【中華航空140便墜落事故】パイロットエラー?コンピュータと人間の衝突?3歳生存者

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投稿日:2023年8月14日 | 最終更新日:2023年8月14日

日本航空史上2番目の大惨事、名古屋空港で発生した墜落事故。なぜ事故は起こったのか?救出された3歳の生存者。中華航空140便墜落事故について調べてみた。

中華航空140便墜落事故 概要
  • 1994年(平成6年)4月26日 日本時間20時15分に名古屋空港内に墜落
  • 乗客乗員合わせて271名中264人が死亡した
  • 乗客の内訳は153人が日本人、63人が台湾人。日本人乗客の多くはパッケージツアーからの帰国者だった。

【中華航空140便墜落事故】事故原因はなんだったのか?

日本航空史上2番目に死者数の多い大惨事

1994年に発生した中華航空140便墜落事故(死者264人)

日本航空史上では1985年に起きた日本航空123便墜落事故(死者520人)に次ぐ大惨事となりました。

日本航空123便墜落事故では当時大スターだった坂本九さんが事故に遭遇され亡くなっています。

乗客乗員271人中死亡264人という悲惨な航空機事故は何故起こってしまったのでしょうか。

きっかけはパイロットエラー

機長は42歳男性、飛行時間8340時間その内1350時間は事故機と同型の機体A300によるものでした。

副操縦士は26歳男性、飛行時間1624時間の内1033時間がA300によるものでした。

機長、副操縦士ともに総飛行時間は1000時間を超えていて、かつ事故機と同型のA300での飛行時間も1000時間を越えているので、経験値としては十分であると推測されます。

事故当時何がおこったのでしょうか?

日本時間20時7分、中華航空140便が着陸する為に名古屋空港から降下許可と進入許可を受けた時それはおこりました。

事故時の進入動作は手動副操縦士が行っていましたが、20時14分に進入操作の途中で誤ってゴー・レバー(着陸やり直しの為の装置)を作動させてしまいました。その為中華航空140便は着陸をやり直す着陸復興モードを起動してしまいます。この操作により機体は下降すべきところを水平飛行を始めてしまいました。

機長はこの時副操縦士にゴー・レバーの解除を指示します。副操縦士は指示に従い着陸経路に戻る為操縦桿を押します。そうすることで一度機体は降下を始めました。

しかし実はこの時、着陸復興モードは解除されていなかったのです。

副操縦士は手動操作で高度を下げようと操作しますが、その動きに対しコンピューターは「着陸復興」を実行しようと反発し機首を上昇させようと航空機の水平安定板を限界まで移動させてしまっていました。

その後20時15分頃エンジン出力レバーが固定されてしまいます。その時点で副操縦士から機長へ操縦を交代し機長はエンジン出力レバーを引き戻し操縦桿を強く押しますが通常の着陸高度までもどれませんでした。この時点で機長は着陸復興を決意します。

20時15分11秒、機長は

「ゴー・レバー(GO LEVER)」

と呼唱し、副操縦士が名古屋管制に

「名古屋管制、ダイナスティ、着陸復航(Nagoya tower Dynasty going around.)」

と伝えています。

その直後、エンジン出力が全開になります。その時水平安定板が機首上げ方向限界値まで移動していた為に機体は急上昇を開始し機首角度は最大53度まで増加し機体が立ち上がった形となります。その後失速し急降下、そして日本時間20時15分45秒中華航空140便は尾翼から墜落し炎上してしまいました。

記録を見るとおり、操作ミスが起こった後墜落するまで2分程度の出来事だったようです。

事故機A300の自動操縦装置に関する問題

実は事故機A300、A310ではそれまでにも同様の着陸復興モードの自動操縦に関するトラブルが数件報告されていました。

それらの報告されたトラブルでは事故機と同様に誤ってゴー・レバーを操作してしまった例も含まれています。その例でも一度機体姿勢が安定したことで自動操縦が解除されたとパイロットは勘違いしています。

それまでは同様のトラブルが発生しても運よく墜落事故には至っていませんでした。

またそれらのトラブルを受けて機体製造元のエアバス社は復興モードを誤って選択しても解除できるようフライトシステムを改良し航空会社へその旨通達を行っていましたが、中華航空は緊急の改修ではないと判断してすぐに改修は行わず、大規模修理等する際にシステム改修をする予定にしていました。

航空事故調査委員会による事故原因の報告

航空事故調査委員会は報告書で事故の要因は以下であると認定しました。

  • 副操縦士がゴー・レバーを作動させたこと
  • 復航モードが解除されていない状態で自動操縦のまま進入を継続したこと
  • 副操縦士が機長の指示により操縦桿を押し続けたこと
  • 水平安定板と昇降舵が相反する動きをし、「アウト・オブ・トリム」状態になったこと
  • A300に「アウト・オブ・トリム」状態を知らせる警報装置がなかったこと
  • パイロットの、自動操縦のモード変更及びオーバーライド機能に関して理解が足りなかったこと
  • 操縦の交代が遅れたこと
  • 失速防止装置がアウト・オブ・トリム状態になっているにもかかわらず、通常通り働き、エンジン出力が一気に増大し急上昇したため、回復操作の時間的猶予を狭めたこと
  • パイロットが回復操作に適切さを欠いたこと
  • パイロット間のクルー・コーディネーションが適切でなかったこと
  • 事故機に改修が行われなかったこと
  • 改修を促す通告の優先度が低かったこと

この報告を見る限り、自動操縦に関する理解が低かった等のパイロット個人の問題もありますが、A300自体に異常動作をした際の警報装置がなかった事やトラブルが複数起きている事象への改修作業の通告の優先度が低かったなど複数の要因が絡んだ結果起きてしまった事故だったようです。

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